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Channel: 放送後記 – TBSラジオ FM90.5 + AM954~何かが始まる音がする~
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2016年4月25日(月) 第5回放送『岩手県八幡平市八幡平』

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毎週月曜日21:45-22:00、TBSラジオ AM954 + FM90.5『コンシェルジュ沓掛博光の旅しま専科』 第5回放送でご紹介したオススメ旅情報です。

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八幡平の山頂付近に広がる八幡沼(昨年7月撮影)

八幡平の山頂付近に広がる八幡沼(昨年7月撮影)

岩手県の八幡平(1613m)は岩手のシンボルの岩手山(2038m)の西側にある。山麓には温泉が湧き、GWには山頂へ通じる道が“雪の回廊”となって訪れる人を迎える。
遅い春を迎えた八幡平周辺を紹介しよう。

日本一長い“雪の回廊”が続く八幡平アスピーテライン(昨年5月撮影)

日本一長い“雪の回廊”が続く八幡平アスピーテライン(昨年5月撮影)

 奈良時代に坂上田村麻呂が岩手山周辺で蝦夷征伐をした折、戦の神、八幡大神に祈願して勝利し、一帯の美しい風景に感動して山頂付近が平坦なこの山に八幡の名をつけ、八幡平としたという。
 盛岡からバスまたは車でやってくると岩手山の東麓をぐるりとまわり、約1時間で麓の八幡平温泉郷に着く。ホテル、旅館、ペンションなどが約20軒たち、この奥の松川温泉の地熱発電所での蒸気を利用した温泉を引湯している。3月まではスキーヤーでにぎわっていた八幡平リゾートホテルの浴室に入るとうっすらと白濁した単純硫黄泉の湯が湯船にあふれ、のんびりと湯浴みが楽しめる。露天風呂からは左手に八幡平、右手に安比高原のある前森山などが望まれ、爽やかな高原の風が気持ちいい。
 一帯は標高が約600mで、見上げる岩手山の頂き周辺はまだ雪に覆われ、例年では6月中旬まで残ると言われている。
温泉郷から八幡平へ延びる2本のルート、八幡平アスピーテラインと八幡平樹海ラインもそれぞれ4月15日と22日に開通した。
アスピーテラインは八幡平山頂近くの八幡平山頂レストハウスで秋田県境を越え国道341号に合流。樹海ラインは八幡平山頂レストハウスで八幡平アスピーテラインと合流する。それぞれのラインでは雪が道の両側に続く“雪の回廊”が5月中旬まで楽しめる。このうち八幡平アスピーテラインは全長27キロと日本一長い“雪の回廊”となって、多い年は壁の高さが8~10メートルにまでなり、バスや車で走り抜けるとまるで雪の中を行くような気分になる。残念ながら今年は暖冬の影響で雪の量は例年の半分以下という。

GWが過ぎたころに八幡平は早春を迎える(昨年5月撮影)

GWが過ぎたころに八幡平は早春を迎える(昨年5月撮影)

 5月に入ってからようやく春を迎える八幡平を歩くのに便利なバスが出ている。八幡平温泉郷では、宿泊した人に手軽に八幡平のハイキングを楽しんでもらおうと5月7日から10月23日まで盛岡駅または八幡平温泉郷からの自然散策バスを運行させている。山とはいえ、平という字がつくほどだから頂上付近は平坦な道が広がり、尾根を散策するように手軽に山歩きが楽しめるのがここの特色でもある。
 山頂周辺には空や雲などを映す鏡沼、メガネを置いたように2つの沼が並ぶメガネ沼、火山のお釜が由来のガマ沼、そして一番大きな八幡沼が点在し、これらを結んだハイキングコースが延びている。ショートコースで約1時間30分、八幡沼を入れると約2時間30分の行程。コースからは残雪の中に広がるアオモリトドマツのうっそうとした原生林や静まりかえった沼、あるいは向かい合うようにそびえる岩手山の裾を広げた雄大な山容などが望まれ、豊かな自然とスケールの大きい風景が楽しめる。6月からはイワカガミ、ヒメザクラ、沼地にミツガシワなどの高山植物の花々も咲きだし、高原の花散歩が人気だ。
 さらに温泉郷では唯一、自然ガイドが常駐する八幡平リゾートホテルでは車での送迎付き一人4000円で、ガイドによる案内も行っている。初心者でも安心して八幡平の自然を満喫することができる。

松川温泉・峡雲荘の露天風呂。1週間から10日ほど滞在する湯治客が多い

松川温泉・峡雲荘の露天風呂。1週間から10日ほど滞在する湯治客が多い

 八幡平のふもとにはもう一つの温泉、松川温泉がある。八幡平温泉郷から岩手山側へ約6キロ入った、松川の渓谷沿いにひっそりと湯けむりを上げている。宿は旅館が3軒で、ほかにペンションが1軒ある。
 村史などによれば江戸時代に川沿いに効能の高い湯が湧出していた書かれているが、現在も硫黄泉が湧き、源泉かけ流しの湯が各宿の大浴場や露天風呂に注がれている。
 その1軒、峡雲荘をたずねてみると湯治を目的とした宿泊客や日帰りの入浴客が平日にもかかわらず多かった。宿の話ではここの湯は糖尿病や神経痛、皮膚病などに効果があるという。湯治は通常1週間から10日ぐらいが多いが、長い人は330日ぐらい滞在、しかもそれを5年間続けているとか。また、最近では若い人たちが合理的に済まそうとするのか食品をコンビニあたりで買い、湯治同様に自炊して泊まるケースも目立つとか。健康と1泊3700円のリーズナブルな料金にひかれての利用かもしれないと宿では言う。
 松川温泉のもうひとつの特色は日本で最初に地熱による発電を行ったところだということである。昭和41年に豊富に地下から噴き出す蒸気でタービンを回し、電気を起こしているのである。現在は地中に12本の井戸を入れ、得られた蒸気でタービンを回転させることで2万3500kWを出力している。さらにこの温泉成分を含む使用後の蒸気を再利用して八幡平温泉郷に温泉を配湯し、熱交換で融雪や暖房などにも活用している。

世界で唯一の八幡平地熱蒸気染色を手掛ける高橋一行さん

世界で唯一の八幡平地熱蒸気染色を手掛ける高橋一行さん

 1軒あるペンションではこの蒸気を利用して染色を行っている。八幡平地熱蒸気染色といい、高橋陽子(68歳)、一行(42歳・かずゆき)親子が絞りによるオリジナルの技術により、色鮮やかで変化に富んだグラデーションを巧みに取り入れた、世界でもここにしかない作品を作り出している。
一行さんにうかがうと、出したい色を7~8種類ほど調合し、これに絞った生地を順々につけて着色し、噴出する蒸気にあて、染料を定着さえ、水洗いして仕上げるという。硫化水素を含んだこの松川の蒸気を当てることで鮮やかに色が出るものと消えるもの、薄く染まるものなどがあり、この蒸気の特色を経験と自らの計算で予測しながら染色する。予測通りにいかないむずかしさと、新発見が魅力とか。「ちょうど、焼物に釉を塗って焼いた時、想像を超えた焼き上がりに出合うのと似ていますね」という。
色のモチーフはすべてこの八幡平の自然で、モミジの紅葉、リンドウの青、雪原の白などを取り入れたスカーフやドレス、ハンカチなどがペンション内のショップに並ぶ。なお、10人以上そろえば、地熱蒸気による染色の体験もできる。約1時間30分で、料金はバンダナサイズが2500円、ハンカチとバンダナで3500円。
世界で唯一の色彩を染めるのも八幡平の思い出になる。

問い合わせ:八幡平市観光協会℡0195-78-3500
      八幡平トレッキングガイドにつては八幡平リゾート
      ℡0195-78-4111
交通:東北新幹線盛岡駅下車、バスで約1時間。
   なお、八幡平温泉郷及び安比高原へは宿泊者限定の無料シャトルバスが
   11月6日まで運行。要予約
   車は東北道松尾八幡平IC利用

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