■鬼畜難易度「ウィザードリィ」。いじわるだけど、それもまた醍醐味
今回の「マイゲーム・マイライフ」は特別編として、パンクブーブーの佐藤哲夫さん、ケミストリーの堂珍嘉邦さん、女優の田中道子さんを招いて座談会形式でお送りしました。
いつもの放送と同様、それぞれが自らのゲーム遍歴を語る中、パンクブーブーの佐藤さんはファミコン版の「ウィザードリィ」の難易度の高さについてを熱弁。
「当時、僕が小学校5年生くらいで、みんなドラクエのぬるま湯に浸かっているときに、ウィザードリィの難易度がハンパなさすぎて、なんだこれは!!!ってなったんですよ。例えば、敵を倒したら宝箱が出るんですよ。そしたら、宝箱に罠が仕掛けられているんですよね」
堂珍「それ、いじわるじゃないですか?」
佐藤「ああー、そうなんですけど、そこも醍醐味で。盗賊とかが罠を外すとかもできるんですけど、その罠で受けるダメージが、罠レベルじゃないんですよ(笑)。宝箱を開けた、『おおっと! テレポータ!』っていうのが出るんです。テレポータっていう魔法を食らったら、自分がダンジョンのどこに飛ばされるかわからないんです」
田中「きっつー!」
佐藤「で、ああああー、(ダンジョンの中で)迷っちゃうー!って周りを見たら、『壁の中にいる』っていう表記が出ていて」
一同「???」
佐藤「テレポータで、実際に進んでいい道じゃないところに飛ばされました、っていうことなんですよ。そうしたら、全滅するんですよ(笑)。普通ね、全滅したらお城とかに戻されるでしょう?」
宇多丸「適当なところからリトライできますよね」
佐藤「それができなくて、死体を取りに行かなきゃいけないんですよ、別のパーティーで。ただ、そのテレポータの場合は、壁の中にいるので……」
宇多丸「取れない(笑)」
佐藤「死体、取れないんです(笑)。だから、『壁の中にいる』って表記が出たら、6個のお墓の絵が出たあと、全部のデータが消去するんですよ! で、オートセーブなんです! 地獄じゃないですか!?」
一同「(爆笑)」
佐藤「レベル上げまくったのに、一撃死なんだ!っていう」
宇多丸「ええー! ひどくない!?」
このあとも、佐藤さんは持ち時間いっぱいをフルに使って、「ウィザードリィ」がいかに鬼畜な難易度のゲームか語り続けます。酷い目に遭った話しかしていないのに、ほかの出演者の面々も、「だんだんやりたくなってきた」と心を動かされていたのが印象的でした。
人が昔のゲームの難易度をけなす姿ほど、愛に溢れているものはありません。今回も、いかに酷いかを語っていながら、「それ、いじわるじゃないですか?」と突っ込まれると、すかさず佐藤さんは「それでも醍醐味で」と答えていました。けなしたいけど、勧めたい。それが高難易度のゲームを乗り越えてクリアした者の、複雑なプレイヤー心なのです。
■今回のピックアップ・フレーズ
(今回もまた、FF・ドラクエやってないカミングアウトをした宇多丸さんが出演者の方から詰められていました。※番組恒例)
宇多丸「これもう、番組で毎回言ってるんですけど、僕は、FFやってません。ドラクエはこないだ初めてやりましたっていうね」
田中「……? ……本当に言ってます?」
宇多丸「本当に、本当に言ってますよ(笑)」
田中「なんで!? じゃあ逆になんでやらなかったんですか!?」
文/朝井麻由美(ライター、コラムニスト)