■ほとんど家に帰らなかった子ども時代、ファミコンのおかげで帰るようになった
ロックバンド・怒髪天のボーカル、増子直純さんが「マイゲーム・マイライフ」のゲストにやってきました。今回注目すべきは、ゲームのトークを通して見え隠れする増子さんのキャラクターです。この番組で初めて増子さんのことを知った、という若い世代がいたとしても、強烈に印象に残ったはず。もはやゲームそのものについての話が霞むくらい、増子さんの破天荒なエピソードのオンパレードでした。
宇多丸「親御さんにゲームは一日何時間までとか言われるのはなかったんですか?」
増子「ないね。何時間までっていうか、家にほとんどいなかったから、帰ってくるだけ、まあいいかって。ファミコンあれば家に帰ってくるんだなって」
宇多丸「あ! そうか! 逆に、いいんだ。(長時間ゲームやっててくれたほうが)まだコントロールできるというか」
増子「家にいるときはもう、ファミコンやってるときか、夕やけニャンニャン見てるときか、あと、うる星やつら見てるときだけだから。それ以外は家にいないから」
これまでにも様々なゲストが、ゲームにまつわる親子の事情についてを語りましたが、もはやスケールが違います。親がファミコンの時間を制限するのを通り越して、家でファミコンをしてくれていたほうがまだマシだったという子ども時代。
また、増子さんはアーケードゲームやファミコンで育ちながらも、最近のオンラインゲームにも明るいようです。オンライン特有の煽り文化についても、独特な感性で楽しんでおられました。
宇多丸「僕、実はオンラインゲームは罵声を浴びせられたりするのに抵抗があって、できないんですよ。増子さんはオンラインは結構抵抗なくやられているんですか?」
増子「オンラインやるよ。すごい煽られたり、罵声浴びたりするけど、そういうの結構好きだからね、俺」
宇多丸「そうなんですね。やっぱりこう、ちょっと荒っぽい場っていうのがお好き?」
増子「(煽りや罵声に対して)イエーイ!みたいなね。サンキュー!って」
そうくるとは思いませんでした。今日もどこかで、オンラインゲームで罵られた増子さんが、画面の向こうで「イエーイ! サンキュー!」とやっているかもしれません。
■今回のピックアップ・フレーズ
増子「バイトは何回も辞めてるの。ゲームのおかげで」
宇多丸「それは直接の原因がゲーム?」
増子「そうだね。俺が救わないとならない街なり村なりがあるから。人任せにはできないからね、これだけは」
文/朝井麻由美(ライター、コラムニスト)