■格ゲーのやりすぎで友達や彼氏をどれだけなくしてきただろう
これまで「マイゲーム・マイライフ」には、ゲームに熱中しすぎて様々なものを失ってきたゲストの方々がたくさんいらっしゃいました。時に仕事を失い、時に恋人を失い……。今回のゲストに佐藤かよさんもその一人。タレントの「佐藤かよ」として活躍する前から、ハンドルネーム「かよぽりす」で格闘ゲームに勤しみ、格ゲー界では名の知れた存在でした。
宇多丸さん曰く、「(事前に)ゲストの皆さんに今までやったゲームや思い入れがあるゲームをアンケートに書いていただくんですけど、こんなに格ゲーのことしか書いてない人いないっていうくらいです(笑)」。格ゲーのやりすぎで、これまでに数々の人間関係をぶち壊してきたというエピソードが強烈でした。
佐藤「私、今まで、それ(格ゲーのやりすぎ)でどれだけ友達や彼氏をなくしてきたんだろう……っていう」
宇多丸「これは興味深い話ですね(笑)。例えばどんなことがあったんですか?」
佐藤「例えば、彼氏とかとデートしていて、若いカップルがゲームセンターに行くってよくあるじゃないですか。で、私も彼氏とゲームセンターに行ったことがあるんですけど」
宇多丸「普通、UFOキャッチャーとかをキャッキャキャッキャとやるんじゃないですか?」
佐藤「そうそう、やるじゃないですか。でも私は、UFOキャッチャーよりも格闘ゲームがあるかないかがすごく気になっちゃって、で、格ゲーのブースに行くと、知らない人がゲームやってるじゃないですか。それで、我慢しようと思うんですけど、どうしても乱入したくなっちゃうんですよ」
宇多丸「(格ゲーを)好きなのは彼氏は知っているんですか?」
佐藤「知っていることもあれば、言わなかったこともあるんですよ」
宇多丸「言わずにだとねぇ、乱入しちゃうと……」
佐藤「そう、それでちょっと一回、二回だけって乱入していると、まず第一に、そこまでゲームをやるんだってことに驚かれるんですよ」
宇多丸「プレイの様子でね。ガシャガシャガシャ!って」
佐藤「そうそうそうそう。ボタンの音でまず引かれるんです(笑)」
宇多丸「顔つきも全然違うから(笑)」
佐藤「そう、顔つきが違うって、そんな顔、見たことない……みたいな。まずそこで驚かれて、さらに負けず嫌いなので、やっぱり一回二回じゃ終わらないんですよ。そこから気づくとだいたい2、3時間くらいゲームやっていて(笑)」
宇多丸「それだって、後ろで彼氏待っているわけでしょう(笑)」
佐藤「最初は隣にいて待っていてくれるんですよ。でも、だいたいしばらくするとトイレ行ってくるってそのまま戻ってこなくなっちゃって、でも、私は彼氏よりも目の前の画面に集中しているので、3時間くらいやって、『しまった!』と我に返ったときに、『ごめんね!』なんていうと、もうあんまり口きいてくれない、みたいな(笑)」
宇多丸「いやー、でも、3時間は! よく待っててくれましたよね」
佐藤「待っててくれたらいいほうです」
宇多丸「俺、帰るわ、って人もいそうですよね」
佐藤「そんなこともありました。申し訳ないんですけど、我慢ができないですね! ゲームを目の前にすると。朝までゲームしていて次の日のデートの約束すっぽかしちゃうとか、友達との待ち合わせの前にちょっと10分ゲームしようとしたら気づいたら1時間たっていて遅刻しちゃうとか」
■同じ格ゲー好きの男性とは恋愛しないこだわり
ここで宇多丸さんが「じゃあ、同じ格闘ゲーム好きの彼氏を見つければいいんじゃないですか?」と提案しました。
ところが、佐藤さんは格ゲー好きの人とは付き合いたくないというポリシーが……。
佐藤「それが私、変なこだわりがあって、同じ趣味の人とは恋愛をしたくないんですよ」
宇多丸「ま、まあわかる気がする……。喧嘩とかにもなりやすいかもしれないですよね」
佐藤「それもそうですし、ゲームに恋愛を持ち込みたくないっていうか」
宇多丸「……何を言っているんですか?(笑)」
佐藤「対決するためにやっているのに、恋愛するためにやっているわけじゃないっていうか」
皆さん、聞きましたか?
【対決するためにやっているのに、恋愛するためにやっているわけじゃない】
なんという名言……! お見事です。
■今回のピックアップ・フレーズ
佐藤「今、周りにいる友達は温かくて、待ち合わせに『ごめんちょっと遅れる!』って言うと、『ゲームやってるんでしょ? 終わったらおいで』みたいな(笑)」
宇多丸「それも込みでの佐藤さんですからね!」
文/朝井麻由美(ライター、コラムニスト)