新年度がスタートしました!新社会人の方や新たな職場で仕事をスタートする人もいると思いますが、一方で人手不足に頭を悩ませている職業も多くあります。きょうは、その内の一つである「農業」の分野で行われている、人手を確保するためのJA(農業協同組合)の取り組みについて、レポーター田中ひとみが4月2日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。
人手を確保するための取り組みとはどんなものか。愛媛県「JAにしうわ」の菊地文雄さんに、詳しいお話を伺いました。
★「農業バイター」をリレーで繋げ!人材確保の新しい形
- 愛媛県「JAにしうわ」菊地文雄さん
- 「全国で農繁期の違う地域に、アルバイトを募集に行く。現在は、北海道の富良野・沖縄県・愛媛県の『にしうわ』の3つの地域で連携の形を取っている。
8月の富良野の最盛期に直接出向いて、終わったら来てくださいと説明会を開催する。当地にも12月に沖縄から説明に来たりと、お互いに赴いて次の場所を紹介している。」

収穫時期の異なる産地と連携し、アルバイトをリレーで繋ぎます
近隣の県同士の連携ではなく、北海道・愛媛・沖縄の3つの地域のJA同士の連携です。というのも、北海道の野菜やメロンの収穫最盛期は4月~10月末。愛媛県のミカンは11月~12月。沖縄のサトウキビは1月~4月。農業の最盛期と閑来た散期が棲み分けできているんです。それならばということで、農業に関わるアルバイトの人に各地にリレー形式で回ってもらえないかと考え、3つのJAの連携が始まりました。
★列島を農業バイターが縦断!
ただ、地理的に相当距離がある中でのリレー形式は、難しくないのか?この取り組みは上手く行っているのか、菊地さんに伺いました。
- 愛媛県「JAにしうわ」菊地文雄さん
- 「富良野から20数名来た。年齢は20~40歳位までで、30~35歳くらいが中心。やっぱりPRしてたから、途中で帰る事もないし良く分かってくれている。
農業バイターとして各地を回っている子たちは農業への思い入れもあるので、野菜からミカンに代わってもそんな難しくないし、十分真面目に取り組んでくれていて、農家さんの評判も良い。うち(愛媛県)が終わってから、沖縄にも相当数行きました。」

愛媛「JAにしうわ」の求人ページ。相互協力している「JAおきなわ」と「JAふらの」へのリンクも掲載されています(画面下部)
実は、この3つの地域が連携する以前から「農業に関わりたい」という思いで農産地を回るアルバイトさんもいたそうです。そうした背景もあり、2年前から始まった連携も、上手く機能しつつあるようです。
★手塩にかけて育てたサクランボを廃棄…山形県
そんな中、この3つの地域以外に、今年に入ってJAの連携に手を挙げたところが出てきました。サクランボの一大産地、山形県です。人手不足に苦しむ現状を、JA山形中央会の大武義孝さんに伺いました。
- JA山形中央会 大武義孝さん
- 「山形の主力のサクランボの農繁期は6月~7月。このサクランボの農繁期の労働力が非常に不足している。毎年お願いしている方もいるが、そもそも高齢化で必要な人数が確保できず、サクランボの木からの収穫を断念した所もあるし、人手のかかる収穫後の箱詰め作業にも支障をきたしている。そのまま放置して、最終的に廃棄している実態がある。」

山形の名産・サクランボ
やはり、高齢化や人口減少によって人手不足が深刻なのは、どの生産地も同じようです。実際、山形県内では去年400人の求人を出したそうなんですが、集まったのは200人程度。しかも60代~70代がメインと言う事もあり、収穫期にお手伝いしてくれる人の高齢化も進んでいます。
そこで、他のJAとの連携に目を付けたそうなのですが、大武さんは、収穫最盛期の重なる北海道から横取りするのではなく、あくまでも山形も選択肢の1つとして農業アルバイトの方に知ってもらいたいと仰っていました。
★人手不足を補う一手となるか
JA山形中央会は早速、先月末に沖縄で説明会を開催したそうです。手応えはあったのか?最後に大武さんに伺ってみました。
- JA山形中央会 大武義孝さん
- 「直接アルバイトをしている方と話をする機会を頂いたが、山形という地域とサクランボに、強い関心を示してくれた人がいた。例えば、今年は無理だけど来年以降は仕事をしたいと言う人もいた。
一定の手応えを感じていて、今年は少ない人数でも、来年・再来年・10年後に人数が拡大する取り組みにしたい。」
地域同士でうまく連携し、協力して人手不足を解消していきたいということでした。

田中ひとみが「現場にアタック」でリポートしました!