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2016年6月13日(月) 第12回放送『筑波山』

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筑波山の2つある峰のひとつ男体山山頂

筑波山の2つある峰のひとつ男体山山頂

 “東の筑波、西の富士”と言われる筑波山は関東を代表する名山。女体山(877m)と男体山(871m)の二つの峰を持つ山容は広い裾野を従えて美しくそびえる。夏の日差しが強まる前の6月はハイキングに最適。都心から手軽に行かれる筑波山とこの名山を望む霞ヶ浦の人気の味を紹介しよう。

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山頂へはケーブルカーが8分で結んでいる

山頂へはケーブルカーが8分で結んでいる

 筑波山へは都心の秋葉原から出ているつくばエクスプレスで行くのが便利。快速に乗って45分で終点のつくば駅に着く。ここからシャトルバスに乗り換えれば約40分で筑波山の入り口の一つになる筑波山神社入口バス停。神社近くからはケーブルカーが延びており、二つの峰の間にある山頂駅と8分で結んでいる。もう一つのルートはバスの終点、つつじケ丘まで行き、ここからロープウェイで6分の女体山駅で降り山頂へ向かうコース。登山道は2本が筑波山神社からスタートしている。御幸ケ原(みゆきがはら)コースはケーブルカーに添う形で男体山頂へ登り、白雲橋(しらくもばし)コースが女体山頂方面へ登る。両コースとも登りはおよそ2~3時間の行程。観光ガイドの案内では白雲橋コースの方が比較的登りやすいと言う。多くの人は帰路はケーブルカーかロープウェイを利用して下山する。

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女体山の山頂近くには男女川の源流となる水が湧き出ている

女体山の山頂近くには男女川の源流となる水が湧き出ている

 筑波山は古くは「古事記」の中で伊弉諾命(いざなぎのみこと)と伊弉冉尊(いざなみのみこと)が国産みで産みだした「おのこ島」であるという神話の舞台に登場し、史実では奈良時代に男女が歌をかけあい恋愛関係になって結ばれる歌垣(かがい、またはうたがき)も盛んに行われた山で、日本三大歌垣の地にも挙げられている。頂き近くに男女川(みなのがわ)の源となる名水が湧くが、川の名が歌垣ゆかりの地であることを伝えている。奈良時代の万葉集でも筑波山を読み込んだ歌が多く、山麓には25の万葉歌碑が立つ。万葉集の中で1つの山がこれほど多く取り上げられている例はないと言われる。古代から信仰の山として崇められ、多くの人々に親しまれてきたのだろう。
筑波山は火山によって作られた山ではなく7500万年前に冷えて固まったマグマが隆起して山となった。そのため、二つの峰の山頂周辺は斑れい岩が表面を覆い岩山の趣さえある。山腹には日本でも数少ないブナの自然林が広がる。その標高は600~700mと決して高くはないが高山を思わせる自然が残されているのも筑波山の神秘とされている。

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どっしりとした構えの随神門

どっしりとした構えの随神門

 この筑波山をご神体と崇める筑波山神社へまず参拝しよう。入り口には屋根をつけた神橋がかけられ、その先にどっしりとした随神門が立つ。この2つは寛永10年(1633)に徳川三代将軍家光の寄進によるもので、現在の拝殿などが建てられる前に存在していた中禅寺の遺構である。筑波山神社の歴史は古く、2000年前に、現在本殿が祀られている男体山(祭神・伊弉諾命)と女体山(同・伊弉冉尊)にそれぞれ祠が建てられていたと言われる。奈良時代に入り、僧の徳一が中禅寺を開き、その後は神仏習合の形をとり、修験道の道場として栄え、家康が江戸城を築いてからはこの筑波山が江戸城の北東の位置にあり、鬼門を封じるためにここに立つ中禅寺を幕府は厚く庇護した。随神門は中禅寺の仁王門で、明治時代の廃仏毀釈の時、名を変えて今日に至っている。石段を登って正面に拝殿が立つ。かつての中禅寺の本堂跡に明治8年に造営された。このあたりが筑波山神社の中心と思われがちだが、実際はここから山頂までの354ヘクタールという広大な敷地が神域なのである。
 拝殿の右手側に立つ末社の春日神社と日枝神社のうち、日枝神社の本殿のかえる股には何と日光東照宮と同じ三猿(見猿、聞か猿、言わ猿)が彫刻されている。しかも神社の説明では日光東照宮よりもこちらの方が造営が3年早いと言う。宮大工がこちらで彫刻し、その後日光でも制作したのではないかと推測する。こぢんまりとしたお社だが、筑波山の隠れた歴史を静かに語っているようだ。

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女体山の山頂へ行く途中に立つガマ石。“がまの油”ゆかりの大岩だ

女体山の山頂へ行く途中に立つガマ石。“がまの油”ゆかりの大岩だ

 神社の横から石段を2,3分進むとケーブルカーの宮脇駅。急斜面を8分で登り、筑波山頂駅へ。ここは男体山と女体山の間の御幸ケ原で西に男体山、東に女体山がそびえる。どちらも歩いて20分ほどで本殿の祠が立つ山頂に登れるが、斑れい岩の大きな岩をまたいだり、登ったりの岩伝いの道なので足を滑らせないようにゆっくり登るようにしたい。また、御幸ケ原周辺にはお土産店や食事処もあり、ここで筑波山名物のつくばうどんなど食べてみるのもいい。鶏のつくねとごぼうなどの黒野菜、ローズポークのばら肉が入ったうどんで、具の頭文字をとってつくばうどんの名。一息つけて女体山の道を行くと、途中には大きなガマが口を開けたようなガマ石の大岩が立つ。江戸時代に地元の永井兵助がこの石の前でガマの油の口上を考え、江戸で売りだしたところ見事人気を呼んだと伝えられる石で、今ではパワースポットとして口に石を投げ込む人が多い。

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女体山の山頂からは関東平野が一望できる

女体山の山頂からは関東平野が一望できる

 大きな石を幾つも踏み越えて山頂に立つと、そこには伊弉冉尊を祀る本殿の小さな祠が立ち、その先に関東平野の展望が広がっている。正面の南につくば市、そのさらに先に東京の高層ビル群やスカイツリー、その奥に富士山も望める。東には日本で2番目に大きい霞ヶ浦も望める。周囲に遮るものは何もないのでまるで鳥になって舞っているような、あるいはハングライダーで飛んでいるような雄大なパノラマが楽しめる。
 女体山から今度はロープウエイ―の女体山駅を目指す。途中には巨岩が造る自然の芸術品とも呼びたい奇岩が見られる。人がひとり通れる母の胎内くぐりや弁慶が恐怖で7度も行きつ戻りつしたという巨岩が覆いかぶさるように立つ弁慶七戻りなど6つの奇岩が点在。筑波山の不思議の一つに挙げられている。
 女体山駅からロープウェイでつつじケ丘まで下り、ここからバスでつくば駅まで戻るのが一般的なルートだ

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老舗出羽屋の佃煮。霞ヶ浦の新鮮な湖魚を使い、味付けの良さと共に人気が高い

老舗出羽屋の佃煮。霞ヶ浦の新鮮な湖魚を使い、味付けの良さと共に人気が高い

 おみやげには今も人気の高い“ガマの油”や七味唐辛子がある。七味唐辛子は唐辛子、ゴマなどのほか自家栽培した筑波特産の福来(ふくれ)みかんの皮を乾燥させて粉末にし、これをたっぷり入れた自家製の七味唐辛子で、香りの高さが群を抜いている。
 筑波山を眺める霞ヶ浦の湖畔には約85年の歴史を持つ老舗の佃煮屋さんの出羽屋がある。本社工場の目の前が湖でここから獲れたてのワカサギや手長エビ、ハゼなどを水揚げし、佃煮を作る。鮮度が良く、伝統の味付けの良さなどから人気は高い。この4月からは新しい保存技術を導入し、つくりたてのおいしさを長期に保存できるパックもお目見えした。つくば駅そばのデパートなどで販売している。帰路に買い求めるといい。

問い合わせ:筑波山観光案内所℡029-866-1616
      出羽屋℡029-898-2111
交通:つくばエクスプレスつくば駅下車。
   バスに乗り換え約40分。
   車は常磐道土浦北IC利用 


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