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Channel: 放送後記 – TBSラジオ FM90.5 + AM954~何かが始まる音がする~
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テニスしなくても発症する!テニス肘の注意点

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テニスプレーヤーの3割から5割の人が経験したことがあると言われているテニス肘。実は、家事や仕事などの日常の行動が原因で発症することも多いのです。症状が進行するとコップが持てないほどの強い痛みを伴うこともあり、日常生活にも大きな支障をきたすようになります。

そこで、5月13日(月)、松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で、テニス肘の原因、症状、治療法などについてお伝えしました。

★テニス肘とは?

テニス肘の正式名称は、「上腕骨 外側上顆炎(がいそくじょうかえん)」といいます。ただ、漢字にした途端に分かりづらいので、今回はテニス肘で進めます。このテニス肘、肘のケガの中で一番多いと言われています。どんな病気かというと、肘の外側にある筋肉に過度な負担が長期的にかかることで肘などに痛みなどが出てきてしまう、というものです。

★テニス肘の症状とは?

利き腕に出やすいのが特徴で肘の外側にある筋肉が痛くなったり、押すと痛かったりしますが、この筋肉は、手首や指を反らす筋肉ですので腕や手首にまでかけて痛みが出る場合もあります。そのため、症状としては、「物をつかんで持ち上げる」「ドアノブを回す」「タオルを絞る」などの動作をしたときに強い痛みを感じます。

症状の現れ方には個人差があり、急に強い痛みが出る場合もありますが、じわじわと痛みが強くなることもあります。

腕は、日頃良く使う部分だけに一度発症するとなかなか治りにくいこともあり、症状が進行してしまうと安静にしていても肘にジンジンとした痛みが続くようになります。

痛みの場所ですが、肘から手首の方向に痛みがでることが多いです。肘の外側から手首の方向に向けての部位(前腕部)に痛みが生じることが多いです。

初期では痛みが出るのがある動作を行った数時間後だったものが、悪化してくるとその動作をした直後に痛くなったり、最終的には痛くて動作ができないという状態にまでなってしまう。

★なぜ、テニス肘と呼ばれるのか?

なぜテニス肘と呼ばれるのかということですが、テニスの「ラケットを振る」「ボールを打つ」などの動きを繰り返すことで、手首を伸ばす筋肉に過度な負担がかかります。すると痛みが出てくるためテニスをする人に多いことからテニス肘と呼ばれるようになったと考えられています。

ほかのスポーツでも、例えばバドミントン、ゴルフ、剣道、卓球などでよくみられます。またスポーツ以外の仕事、配管工、コック、大工などの手首を使う職業や、重いものを持つ職種に発生します。さらに、日常の動作が原因で発症する場合も少なくありません。

例えば、パソコン作業をしているサラリーマン。マウスを動かす、キーボードを打つ、という動作は、それだけで見ると、さほど腱や筋肉を酷使する運動には思えません。しかし、それを毎日何時間も続けていると、10年、20年と時間がたつうちに疲労が蓄積し、腱や筋肉に炎症を起こし、「テニスなんかしていないのにテニス肘」となるのです。

ですので、最近では、ビジネスパーソンにテニス肘が増加しているとも言われています。そのほか、過去には編み物をしていてなったなんていうケースもあったようです。

また、この病気は、中年以降に起きやすい傾向にあります。中年以降になると過労で痛みやすいことや、一度痛むと治りにくいこと、そして、特に中年以降の女性では、筋力が弱いことなどが起こりやすい要因です。

★テニス肘かどうかのチェック

テニス肘が疑われるときは、整形外科を受診し、検査を受けましょう。まずは「レントゲン検査」です。この検査で骨折などとの判別ができます。

次に行う検査は、痛みを誘発するテストで、3種類あります。

まず第1は、「トムセンテスト」です。医師が患者さんの手を握って手首を下に曲げるようにし、患者さんには肘を伸ばしたまま医師の力に抵抗して手首を伸ばしてもらいます。

第2が「チェアテスト」。肘を伸ばしたまま手で椅子の背をつかんで持ち上げてもらいます。

第3が「中指伸展テスト」です。医師が中指を上から押さえるのに抵抗して、患者さんには肘を伸ばしたまま中指を伸ばしてもらいます。

この3つです。いずれも、肘の痛みを誘発する検査で、痛みが出たらテニス肘と診断され、治療になります。

★テニス肘の治療法

治療はまず、保存療法を行います。

1つ目がストレッチです。手を伸ばし、手の平を下にして、反対の手で中指を中心に引っぱります。親指が下になるような位置で引っぱると、より効果的です。筋肉をほぐしておくことも有効。

続いて、湿布や外用薬、飲み薬を使用します。非ステロイド性消炎鎮痛薬=いわゆる痛み止めの飲み薬や貼り薬は効果があります。

痛みがあまりに強い場合は、肘の外側に局所麻酔薬とステロイドの注射をする場合もあります。ステロイドの局所注射は、発症から6週間くらい痛みを抑える効果があります。薬を使っている間も、理学療法を並行して行うと、より効果があります。

こうした保存療法が効かない、もしくは保存療法でも改善しない場合は手術を行うこともあります。手術になる人は少なく、テニス肘患者さんの1割に以下、と言われています。

★テニス肘の手術と術後

手術法も様々ありますが、身体に負担の少ないのは内視鏡を使って、炎症の原因となっている組織や腱の切除を行う手術が主流です。関節鏡を使うことで関節内の問題を発見できて、同時に治療を小さい傷で行うことが可能です。

手術はおよそ1時間前後で終わり、手術後、麻酔から早く覚めるとおよそ3時間で歩いたり、食事をしたりも可能で、手術翌日には退院できます。

術後は必要に応じてリハビリテーションを行います。術後ギプス固定などは行わず、およそ1、2週間は三角巾固定を行います。

ただ、すぐに元気な状態に戻るわけではないので、1ヶ月以上経ってから痛みを見ながらお医者さんと相談して対応を決めて行きます。

慢性化すると、年単位での治療になるケースもあります。この程度はどうってことはない、などと軽く考えずに早く対応するのが大事です。

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190513080130

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)


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