毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。
今回のテーマは…『学習障害、光過敏の子でも使いやすい英語ノート』
フリースクールで独自の教材開発
茨城県つくば市のフリースクール「ライズ学園」。知的な発達に遅れはないものの読み書きや、計算が苦手といったLD=学習障害や、注意欠如・多動症=ADHDなどが理由で不登校の状態にあるお子さんが通っています。例えば、マンツーマンで英語の授業を受けていた18歳の男性は英単語を紙に書くことはちょっと苦手だけれど、英語の意味を理解するという点においてはとても優秀。そんな彼の特性に合わせて、先生の側も、えんぴつで文字を書くことより、キーボードやタブレットを活用して教えていました。そんなライズ学園では、ある理由から学習が困難な子供達に向けて独自の「ライズ英語ノート」を開発しました。
- ライズ学園を運営する「リヴォルヴ学校教育研究所」設立代表者、小野村哲さん
- 光過敏の子供達が白い紙に文字を書くと、まぶしくて集中が持続しないということがあるので、青く、薄いブルーグレーで着色しています。もう1つは、細い線がいっぱい並んでると、どこにどう書いていいか分からないとか、日本の子供たちは普段から枠からはみだしちゃいけないと言われているので、下にはみ出る「y」とか「g」とかいう字を下にはみ出さないで書く子がいるんですよね。そういう子達には、このブルーグレーに染められた中でそれぞれバランスを見ながら書いてねっていうことが分かりやすいように、4線の中だけをブルーグレーに着色しています。
大学ノートですと白い紙に均等に罫線が引かれていますが、光過敏(まぶしくてチカチカして見づらい)という子供にとってはとても使いづらい。ですが英語を書く部分だけを着色することでそういったストレスが解消されるということです。こちらのノートは、茨城県外の学校や個人からも取り寄せの注文が入っているといます。
改良版は「ユニバーサル書体」を採用
こちらの「ライズ英語ノート」現在、さらなる改良版を作ろうとしています。再び小野村さんのお話です。
- 「リヴォルヴ学校教育研究所」設立代表者、小野村哲さん
- 今回は、ノートの下に載っている単語などをユニバーサル書体にしてより読みやすい書体にして、例えばbとdですけども、普通の書体だとひっくり返すとまったく同じだよっていう書体だったり、必要以上に飾りの部分が多い書体がありますよね。飾りの多い書体だと、そちらのほうに目が移って、文字を絵のように認識しちゃう子がいるんですよね。そういう意味で、余分な飾りは排しながら、でもbとd 左右の形を少しずつ微妙に形を変えることで読みやすいっていうことはよく言ってますね。
ユニバーサル書体では、小文字のbとdで丸の形がわずかに異なります。小野村さんによると、世界に普及している言葉の中で英語は最も読み書き困難が出やすい言葉だと言われているそうです。中には「数学は 100点なのに英語は 0点」といった極端なケースも。その原因の1つが、アルファベット文字の形にあり、文字と文字として認識できない「ゲシュタルト崩壊」が起きてしまう子もいます。でも少し形を変えたり、余分なハネなどを減らすことで格段に見やすくなるということです。
授業時間、教員の確保が課題
最後に、小野村さんは、このオリジナルの英語ノートの普及にこのような期待を寄せています。
- 「リヴォルヴ学校教育研究所」設立代表者、小野村哲さん
- ただの大学ノートだと上下がごちゃごちゃになっちゃって読めない。自分が書いた字が読めないくらいだと自信を無くして、勉強そのものが嫌いになっちゃうので。でもこれで少しでも上手に書けると、上手にできれば人って退屈はしない、飽きはしないので、できればその子の持ってる可能性をつぶさないように。ちょっとしたサポートで全然結果が違ってくることがあるので、ぜひお試しいただければと思います。
こちらの新しい英語ノートは、4月の新学期に向けて製作中でクラウドファンディングも行っています。少しのサポートで学習の困難が解消される。こういったノートがもっと一般的になっていくといいですね。
(担当:中村友美)