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Channel: 放送後記 – TBSラジオ FM90.5 + AM954~何かが始まる音がする~
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増加傾向にある「食道と胃の間のがん」について

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食道なのか、胃なのか、その間の微妙な食道と胃の間にできるがんがここ最近、増えています。その背景にあるとされているのが、逆流性食道炎です。

1月13日(月)松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で、このがんと逆流性食道炎について取り上げます。

★食道と胃の間にできるがんとは?

まず、食道と胃の間にできるがんですが、正式には「食道・胃・接合部・がん」と言います。食道と胃のつなぎ目は、食道胃接合部と呼ばれていて、そこにできるがんだからです。この食道と胃の間のがんですが、昔は日本ではこの病名はほとんどありませんでした。

というのも、昔、食道と胃の間のがんは、食道がん、もしくは胃がんとしておおざっぱに分類されていた病気だったんです。しかし、欧米では以前から比較的多く見つかっていて、食道がんや胃がんと分類されていました。さらに日本でも、食道がんや胃がんに比べて頻度は低いものの、最近増加傾向にあるため、いまではしっかりと分類されています。

そんな食道と胃の間のがんですが、どれくらい増えてきているのか。きちんと分類されてこなかったため、正確な発生数はわからないのですが、日本胃癌学会と日本食道学会の調査では、273病院で実施された直径4センチ以下の食道と胃の間のがんの手術は、2001年に178件だったのが、2010年は426件で、実に2・4倍に増えていたということなんです。

★食道と胃の間にできるがんが増えている理由

この増えている要因の1つが逆流性食道炎です。逆流性食道炎については、のちほど詳しくお話ししますが、高齢化や肥満の増加によって、逆流性食道炎が増えている状況があり、食道と胃の間のがんが増加していると考えられます。そんな食道と胃の間のがんは、食道がんなどと同じく、早期ではほとんど自覚症状がありません。

ただ、がんの進行につれて、食べ物がスムーズに食道から胃へと通りにくくなり、物を飲み込んだ時に、つかえる感じがします。また、胃痛、胸やけ、吐き気、食欲不振などの症状も起こります。こうした自覚症状や、定期健診などでがんが見つかり、治療という流れになっていくことが多い。

★食道と胃の間にできるがんの治療は?

食道と胃の間のがんが早期であれば内視鏡切除が検討されます。内視鏡を使って、がん化している部分を切除する方法です。

一方、早期のがんでも内視鏡切除が適応にならない場合や、進行がんの場合では手術が標準治療となります。手術では、食道と胃、およびその周りのリンパ節を切除します。がんができている場所によって、食道がんに準じた手術をするのか、胃がんに準じた手術をするのかは、個々の患者さんの状態によって決まります。

一方、リンパ節を切除する理由は、食道がんや胃がんと同様に、食道や胃の周囲のリンパ節にがん細胞が、まず転移するからです。

また、進行状況によっては手術の前後に抗がん剤治療を行うこともあります。診断時に他の臓器や、病変から離れたリンパ節に転移があるような状況では、化学療法を中心に治療を行います。食道と胃の間のがんもまた、進行してしまうと、より多くのリスクが生じてしまいます。そのためには、原因の1つになっている逆流性食道炎にならない、ということが重要になってきます。

★逆流性食道炎とは?

逆流性食道炎はもともと高齢者に多い病気でしたが、食生活をはじめとした生活習慣の欧米化などによって若い人にも見られるようになってきました。

逆流性食道炎はどのように起こるのか、ということですが、食事をして胃に食べ物などがたまると、食道と胃のつなぎ目にある筋肉が開いて、胃にたまった空気を体の外へ出します。

このとき、空気と一緒に胃の中の胃酸が食道に逆流してしまうことがあります。これが頻繁に起こると、食道の粘膜が傷ついたり、胸やけや胸の痛み、酸っぱいものがのどや口の中にこみあげてきたり、咳の違和感などの不快な症状が現れます。これが逆流性食道炎で、さきほどお話した食道と胃の間のがんの要因となります。そんな逆流性食道炎に、なりやすい人がいます。

★逆流性食道炎になりやすい人とは?

まずは、食べ過ぎ・早食い傾向のある人です。食べ過ぎて胃が大きく脹らんだり、また、よく噛まずに飲み込む早食いによって、胃に空気がたまります。それによって、食道と胃の間にある筋肉が開きやすくなり、胃酸が食道に逆流しやすくなります。

また、食べてすぐ横になる人も逆流性食道炎になりやすい人です。食道への胃酸の逆流が起こりやすいのは食後です。食事をしてすぐに横になると、逆流した胃酸が胃に戻らずに、長時間食道の中にとどまります。結果、炎症を起こしやすくなるのです。

ほかにも、高脂肪食が好きな人も注意が必要です。揚げ物など脂肪を多く含むものを食べると、胃酸が多く出ます。それだけでなく、食道と胃の間にある筋肉が開きやすくなる消化管ホルモンも分泌されます。そして、胃酸が逆流しやすくなります。

このほか、飲酒・喫煙の習慣がある人や、肥満や肥満気味の人も逆流性食道炎に注意が必要です。肥満になると腹圧が強くなって逆流性食道炎を起こしやすくなるのです。

これに加え、ピロリ菌を除菌する方が多くなり、ピロリ菌保菌者の減少も関係しています。ピロリ菌を保菌していないと胃はより活発なので、逆流性食道炎を起こしやすくなります。ただ、ピロリ菌の除菌によって、胃がんの患者数はどんどん減少しています。やはり、胃がんのリスクを考えると、ピロリ菌の除菌はするべきです。

★逆流性食道炎になりやすい人は?

このように逆流性食道炎になりやすい傾向のある人は、年に1回は胃の内視鏡検査を受けるようにしましょう。内視鏡検査は食道から胃に入るときはスッと入ってしまいます。

だから、検査の前に内視鏡検査をしてくれる医師に、「先生、食道のチェックのしっかりお願いします」と言いましょう。この一言が、食道のチェックには重要なポイントです。

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20200113080130

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)


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