■RPGのキャラクターに好きな子の名前をつけるかどうか問題
RPGで主人公や仲間の名前がなかなか決まらず、先に進めない……。ゲーム好きなら誰しも身に覚えがあるはずです。「マイゲーム・マイライフ」杉浦太陽さんゲスト回の後編では、リスナーからのお便りでこの名付け問題が取り上げられました。
【ラジオネーム・トムトムさんからのメール】
「自分で名前をつけられるRPGで、好きな女の子の名前をヒロインにつけるという行為は、思春期にゲームライフを送った男子ならみんなやったことと思います。
そこで僕がやっていた縛りプレイは、好きな女の子の名前をつけたキャラが、一度も死んだり、戦闘不能になったりせずにクリアすると、この想いが叶うと願をかけること。
もちろん、好きな女の子に一番いい装備を優先的に装備させ、能力アップアイテムを使い、少しでもHPが減ると回復させます。挙げ句には、死ににくいHPの高い『戦士』などの職業にして、しかもすぐに防御させるなど本末転倒なプレイスタイルに。
基本的にゲームをする以外で恋愛のアプローチをしないため、想いが叶うことはありませんでした」
これに対して、「うち、友達が(ゲームしに)来るんで、(好きな女の子の名前は)つけられなかった。友達に見られないゲームボーイとかだと好きな子の名前をつけてたかも」という杉浦さん。今は子どもの名前をつけているそうです。
宇多丸「でも、うっかり子どもの名前なんかつけちゃうと、それこそその、下手なプレイの仕方をできないというか、リスキーなプレイを避けたくなるとか、ないですか?」
との宇多丸さんの質問に、
杉浦「女のキャラとかだと、娘の名前だからセクシーな格好ができないとか(笑)」
宇多丸「ですよね! そうなっちゃいますよね!」
杉浦「もっさい格好させるとかしています(笑)」
主人公だったり、一緒に冒険する仲間だったりは、感情移入しやすいように自分の名前や身近な人の名前をつけたいものですが、それはそれでこのようにゲームがしづらくなる側面があるものです。小さい頃、片思いの相手の名前をゲームのキャラクターにつけていた人は、別の好きな人ができたり、振られたりしたらどうしていたのでしょう。そうなったらもう、そのゲームは最初からやり直したくなってしまうのではないでしょうか。また、好きな人の名前をつけたことを忘れて、うっかりソフトを友達に貸してしまった、なんてこともありそうです。考えれば考えるほど、様々なリスクがありすぎて、私にはとてもできませんでした。
とはいえ、自分と何も関係のない適当な名前をつけるほどネーミングセンスはない……。私は悩みに悩んだ結果、あるときから「好きな食べ物の名前をつける」というルールを決めました。これは本当におすすめで、今でもRPGをやるときはこのルールのもとに名前を決めています。好きな食べ物だから、それなりに思い入れもあり、誰かに見られても恥ずかしくありません。名前の由来を聞かれたときにも「好きな食べ物だから」とスマートに答えることができます。そういうわけで、今日も私は「たまご」という主人公に、武闘家の「うに」、魔法使いの「ホタテ」、僧侶の「とんこつ」を引き連れて世界を旅しています。
■今回のピックアップ・フレーズ
杉浦「僕、たぶん85歳になっても『ゆうていみやおうきむこう』って覚えていると思います。ボケ防止に言ってると思います」
※編集部注:「ゆうていみやおうきむこう」とは……
『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』の「ふっかつのじゅもん」。入力すると、最初からレベル48というレベルの高い状態で冒険できる。主人公の名前は「もょもと」。呪文の全文は以下。
ゆうて いみや おうきむ
こうほ りいゆ うじとり
やまあ きらぺ ぺぺぺぺ
ぺぺぺ ぺぺぺ ぺぺぺぺ
ぺぺぺ ぺぺぺ ぺぺぺぺ ぺぺ
文/朝井麻由美(ライター、コラムニスト)