ゴールデンウィーク真っ最中ですがサービス業で働く方達にとっては特に忙しい時期ですよね。そんな中、日曜や祝日にも預けられる、企業主導型の保育園が増えています。
5月1日(火)「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)「現場にアタック」で、レポーター真野淑實(まの よしみ)が『空港・ホテル・百貨店…GW中も預けられる保育園』をテーマに取材報告しました。
高島屋は「会議室が保育園に」!
百貨店の「高島屋横浜店」はこのゴールデンウィーク中、繁忙期の社員のために新たな福利厚生の取り組みを行っています。高島屋横浜店の店長で執行役員の青木和宏さんのお話です。
- ●私ども百貨店ですので、日曜祝日は大勢のお客さんがお見えになる。一方で日曜祝日は保育施設がお休みの所が多い。働く上で非常に困っているという声があったので、保育施設のような環境を整えて、働きやすい環境ということで取り組み始めた。元々会議室を持っているが日曜は会議が無いので、有効活用。元々殺風景だったが、風船、おもちゃ、工作教室…お子様がまた行ってみたいと思ってもらえるような環境、ここに尽力をしました。
子育て中の社員のために、子供を預かるスペースを作ったとのこと。会議室の床にマットを敷き、おもちゃや絵本を並べて、保育士やベビーシッターを配置した、いわば即席の保育園です。実は去年の年末にも保育園の取り組みを試験的に行ったところ百貨店が忙しい日曜・祝日は保育園が休みの事が多いということで15人~20人程が申し込み、ニーズが高く、このGW、そして7月の海の日の時期など今後も不定期で保育を行う予定です。
今までは大事な繁忙期に休んでいた
今回、高島屋横浜店の保育園を利用した保護者の方にお子さんを預けた理由を伺いました。
- (女性)5歳の男の子。私も主人も同じ職種で働いているので、普通の企業が休みの時に出勤しなければいけない日が多く、実家に預けられない状況が続いていて、どんな事情があっても仕事を休んで子供の面倒を見ていた。そういった時に預けられるのはすごく有難い。
- (男性)2歳7か月、女の子。ずっと家内が面倒を見ている。彼女自身の少しゆっくりする時間もできるんじゃないかと思ってます。
1人目の共働き夫婦の奥様は現場のマネージャーという責任のある立場にも関わらず休日に出勤できずストレスを感じていたそうです。2人目の男性社員は奥様が専業主婦で、たまには育児を休ませたいという思いがありました。2人とも去年も利用したリピーター。高島屋横浜店の青木店長も保育園事業に力を入れていて、できる限り保育室に顔を出し勤務中の社員にお子さんの様子を伝えているそうです。
ホテル日航成田は1フロアを保育園に改装
百貨店のみならず、GW中、特に忙しい空港・ホテルでも保育園が増えています。ホテル日航成田で4月にオープンした保育園について総支配人、吉髙誠さんに詳しいお話を聞きました。
- 名前は「なりた 空の保育園」。従来客室だった壁を抜いて、0歳児用、1歳児用としている。そもそもは社長と若手社員の懇談会で女性社員が「もしホテルの中に保育園があれば結婚後も出産後もずっと仕事を続けられるのに」というコメントがあり、社長自ら「検討してみないか」と仰って、検討に手をつけた。
ホテルのワンフロアを丸々改装して、0歳児から5歳児までそれぞれ6部屋設けています対象は、ホテル日航成田で働く人や、JALグループの社員のお子さん。ホテルの利用客向けの一時保育にも対応しています。
保育園が見つかると同時に就職も実現!
「なりた 空の保育園」ば4月にオープンしたばかりなので通っているお子さんはまだ2人だけでした。そのうち1歳半の女の子を預けているご夫婦にお話を伺いました。
- (父)私は成田空港でグランドハンドリング、航空機の地上支援業務に就いています待機児童の問題があって住んでいる市に申請したがすぐには入れず、とても助かる。母親はこちらの保育園で調理の担当スタッフをしています。(母)保育園が決まっていない状態で就職活動。仕事もなかなか見つけられなかった。本当にタイミングが良くて、すぐに職の方も応募して預かってもらって。すんなり決まって本当に良かったです。
もうお一方も、4月にホテルの清掃員として就職すると同時にお子さんの保育園が決まって良かったと言っていました。就職の実績がないと保育園に入るためのポイントがなかなか稼げないという中でとても助かったようです。
保育園を作るのには「迷いもあった」
ホテル内の保育園、子育て世帯にとっては良いことばかりのように思えますが、ホテル日航成田・総支配人の吉髙さんは「迷いもあった」と、こう話していました
- ホテルの中に保育室を誘致することによって、客室を20室減少させている。我々の一番大事な商品を縮小して保育園を誘致する、売り上げにもダイレクトに影響してくる問題ですので、正直なところ迷いはありました。それ以上にいわゆる人手不足、労働力の確保は極めて難しくなってくると思う。我々も昨年以来どうしても人の手が足りない、回らないというケースを目の当たりにしてきた。
どうやってスタッフの皆が働き続ける意思を持ってもらえるのか。この点は今は優先すべきということから結論に至った次第ですね。
保育園をホテル内に作ることで客室の数が減る一方、ホテルの従業員にかかる負担は減ります。ホテルの利益よりも従業員の働きやすさ。大きな決断でした。これからも、職場の近くで子供を預けられる保育園がどんどん増えていくことに期待したいです。

真野淑實が「現場にアタック」でリポートしました!