最近、「はしか」の流行が沖縄から始まり、愛知県や東京都内でも患者が出るなど感染拡大が心配されています。子供の頃に受ける予防接種にも注目が集まっていますが、「こどもの予防接種」に関する自治体のサービスについて、5月14日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材報告しました。
子供の予防接種に関する新たなサービスの導入を予定しているのが、品川区です。どんなサービスなのか、品川区・保健予防課に勤務する医師の吉田松美さんにお話を伺いました。
★予防接種のお知らせサービス
- 品川区・保健予防課・医師 吉田松美さん
- 「子供の生年月日を登録すれば予防接種時期がメールで連絡されるシステムです。体調不良などで接種できない時は、登録変更すれば変更後のスケジュールを通知するよう自動調整され、スマホやパソコンから登録が可能。発熱があると接種が延期になるとスケジュールを組み直さなくてはいけないが、アプリを使うと組み直してくれる。」

品川区「しながわパパママ応援アプリ」
品川区では、既に子育て支援の為の「しながわパパママ応援アプリ」が活用されていますが、この夏、新たな機能として「予防接種スケジュール管理サービス機能」が追加されます。
★接種回数は4年で倍増!複雑化する予防接種
新たなサービスの導入には、子育て世代を悩ませるこんな理由があるようです。再び吉田さんのお話です。
- 品川区・保健予防課・医師 吉田松美さん
- 「子供を対象とした予防接種は平成24年度には、はしかや風疹など12回接種だったが、平成28年度から肺炎球菌ワクチンなどが増えて合計24回の接種と多くなった。お母さん達は毎日忙しくて、接種回数が増えると回数忘れなどの確認が出来ない人もいる。そうした人からの問い合わせも増えているので、何かできないかとアプリの導入を決めた。」

予防接種スケジュール(国立感染症研究所ホームページより)
子供の予防接種の回数は2012年の12回接種から年々対象ワクチンの種類も増え、小児用肺炎球菌やみずぼうそうのワクチンなどが加わった事で、2016年には24回に倍増したそうなんです。さらに、ものによってはワクチン接種時期の間隔が違う場合もあります。例えば、肺炎球菌ワクチンは生後2ヶ月・3ヶ月・4ヶ月と1歳になってからの1回、合計4回必要です。一方でB型肝炎ワクチンは、1歳までに27日間の間隔をあけて3回接種と複雑。
★あの手この手で工夫するパパママたち
これでは子育て世代の方々は大変だろうと思ったので、街でお子さんを連れている方々に予防接種を忘れない為の工夫を聞いてみました。
- ●「(母親)港区なんですけど区から予防接種の券が送られてくる。1歳までは毎月のようにあり、母子手帳を見てた今は券だけ。」
- ●「(母親)上の子の時より増え忘れないようにするのが大変です。手帳の月の下に書いてます。あと家のカレンダー。夫は戦力外であてにはしてないです。」
- ●「(父性)母子手帳を見て自分の手帳に書いている。医療関係ではしかも流行ってて敏感。」
- ●「(母親)携帯のグーグルカレンダーに書いてアラームで前日に通知がある。携帯が一番便利。」
母子手帳だけでなく自分の手帳に書き込んでいる方、絶対に忘れないようにトイレのカレンダーに記載している方、皆さん様々な手段で対策を取っていました。
調べてみると、すでに「予防接種のお知らせサービス」を開始している自治体も多くありました。東京23区では足立区や江東区、練馬区など半数近く、その他、神奈川県や埼玉県、千葉県でも似たようなサービスを行うなど広がっているようです。
★お知らせ機能で接種率UP!
そこで、すでに予防接種のお知らせサービスを始めている自治体の方に、効果は出ているのか?利用者からの反応はどうなのか?最後に聞いてみました。2014年5月からサービスを開始している江東区の健康部・保健予防課長の尾本光祥さんのお話です。
- 江東区・健康部・保健予防課長 尾本光祥さん
- 「初期から徐々に利用者が増えて今年5月1日現在で9365名の方が登録している。実際に区に今まで問い合わせがあったが減っていて接種率も上がっているので区民に受け入れられて利用されているサービスだと思います。また様々な声もあり、忘れやすかったが便利になった非常に役に立つという声も頂いています。」

江東区「かんたん&べんり予防接種ナビ」。接種日が近づくとメールでお知らせします
江東区では、一年に約5000人の新生児が誕生するそうですが、実際接種率が向上していたりと効果は出ているということです。お住まいの自治体でも導入しているか、改めて調べて見るのも良いかもしれません。

田中ひとみが「現場にアタック」でリポートしました!