Quantcast
Channel: 放送後記 – TBSラジオ FM90.5 + AM954~何かが始まる音がする~
Viewing all articles
Browse latest Browse all 5425

2016年6月6日(月) 第11回放送『伊豆・下田公園 あじさい祭り』

$
0
0
6月1日から30日まで下田公園で開かれて いるあじさい祭

6月1日から30日まで下田公園で開かれて
いるあじさい祭

 鎖国から開国へ、日本の歴史が大きく変わる舞台となった伊豆の下田。市内にはその歴史を伝える見どころが点在しているが、6月の季節はこの歴史町を見下ろす下田公園にアジサイの花が咲き乱れる。あじさい祭りと同時に開かれるきんめ祭りを紹介。

斜面に沿って300万輪の色鮮やかなアジサイが咲きそろい、豊かな彩に目を奪われる

斜面に沿って300万輪の色鮮やかなアジサイが咲きそろい、豊かな彩に目を奪われる

 6月の下田は何と言ってもアジサイが美しい時期。ペリー提督上陸の記念碑が立つ地を眼下に眺めて下田公園が広がり、その斜面いっぱいにあじさいの花が咲き乱れている。伊豆急下田駅からバスで7~8分、歩いて約20分。戦国時代の武将北条氏の水軍の拠点があった所で城山とも呼ばれ、標高は約60mと小高い丘になっている。
その斜面一帯に15万株、300万輪のアジサイが咲いている。6月1日から30日まで下田市観光協会が主催するあじさい祭が開かれ、毎年12万人程の観光客が訪れる人気の花祭りである。

アメリカのペリー提督が安政元年に上陸した地に記念碑が立つ

アメリカのペリー提督が安政元年に上陸した地に記念碑が立つ

 アジサイはおよそ100種類あり、様々な色や形の花が咲きそろう。淡い青、白、ピンクなどカラフルに咲く。形はおなじみの丸い形から三角錐のものなどバリエーションに富んでいて見ていても飽きない。中にはバラを思わせるようなシックな花びらを持つみらいという種類もあってアジサイのイメージが一変するほど。道は斜面に沿って蛇行しながら上に延び、1周約30~40分。その途中には開国の歴史を示す開国記念碑が港を望んで立つ。記念碑は昭和29年に開国100周年を記念して建てられたもので、ペリー提督とハリスのレリーフが刻まれ、日米友好の証を今日に伝えている。
 公園を出て目の前の海辺に足を向けると、そこにはペリーの像が立ち、日米和親条約調印から150周年に当たる2004年に当時のブッシュ大統領から贈られたメッセージと共に、アメリカより空輸された日米友好の灯と名付けられたかがり火が永遠に灯されている。ペリー提督は安政元年(1854)にこの地に上陸し、700mほど行った了仙寺において日米下田条約の交渉を行い締結した。今その一行が歩いた道は“ペリーロード”と名付けられ、平滑川(ひらなめがわ)に沿って石畳みが続き歴史散策の格好の散歩道になっている。川に面しては明治期に建てられた石造りの蔵がブティックやレストランに生まれ変わり、下流になまこ壁と伊豆石で大正4年に建てられた旧澤村邸を活用した市の無料の休憩所が立つ。ここは、開国の時来日した米国のハリス総領事の世話をしたお吉の伝統を守る下田の芸者衆のおけいこの場所にもなっており、運が良ければ三味線の音を聞きながら一休みすることもできる。

上陸地点から700mほど行った了仙寺。ここで下田条約が締結され、一行が歩いた道は今、“ペリーロード”と名付けられ、散策ルートの一つになっている

上陸地点から700mほど行った了仙寺。ここで下田条約が締結され、一行が歩いた道は今、“ペリーロード”と名付けられ、散策ルートの一つになっている

 了仙寺には交渉が行われた本堂が立ち、境内をはさんで向かい側に今年の1月にリニューアルオープンした黒船ミュージアムがある。
 了仙寺が所蔵する黒船や開国に関する資料3000点の中から年3回ほどの割合で企画展を開催。黒船と呼んだアメリカをはじめとする幕末期の蒸気船の絵画や当時、日本人から見たペリーの肖像画、町民の振る舞い酒に酔う乗組員を描いた絵などを展示。わが国の黎明期を知る資料を目の当たりにする。

あじさい祭と同じ期間、市内では水揚げ量日本一のキンメダイが色々に味わえるきんめ祭りを開催。写真はオリジナルのキンメチャウダー

あじさい祭と同じ期間、市内では水揚げ量日本一のキンメダイが色々に味わえるきんめ祭りを開催。写真はオリジナルのキンメチャウダー

 下田はキンメ鯛の水揚げが日本一の漁業の町でもある。地元ではキンメと呼び、それを獲る漁船をキンメ船と言い、現在大小合わせて30隻ほどあり、1年中、キンメ漁に出ている。昨年の水揚げ量は1600トンで、下田の市場の値が全国のキンメの値段を決めていると言われている。そのキンメの町で6月30日まできんめ祭りが開かれている。期間中は市内の飲食店約30店がお得意のキンメ料理をだし、市場での水揚げ見学やキンメの販売などを行う。
 キンメの料理では良く知られる煮つけのほか、握りずし、天丼のほか中華のキンメ鯛にチリソースをかけたキンメ鯛のチリチャン、ギョウザ、洋食では期間限定でお目見えしたキンメチャウダーなど和、洋、中がそろい色々なキンメが楽しめる。寿司は刺し身の握りに醤油漬け、炙りの3種があり、チリチャンはチリソースのかかったキンメのぶつ切りがごはんの上にのり、食べごたえ十分。チャウダーは隠し味のスープが効いて、和でも洋でもOKの新しい味だ。キンメを色々に味わいたい方におすすめのきんめ祭り。6月30日までやっている。

海中に浮かぶ大水槽と自然の入江を利用した下田海中水族館。人を背中に乗せて泳ぐイルカの妙技は必見の技

海中に浮かぶ大水槽と自然の入江を利用した下田海中水族館。人を背中に乗せて泳ぐイルカの妙技は必見の技

 下田のシンボルとも言えるキンメが実際に泳いでいる姿を見られるのが、海に浮かぶ水族館で知られる下田海中水族館。キンメ鯛は通常、昼間は水深数百mの深い海中で生息しているので一般にはその泳ぐ姿は見られないがここでは水槽に泳ぐキンメ鯛が見られる。近づいてよく見ると体の色は薄いピンク色をしており普通、我々が見かける目が大きくて赤い姿とは大分違う。キンメ鯛は興奮したりするとストレスでその体が赤く変化すると、案内にある。
 海に浮かぶ水族館は正式には係留船の一種で、排水量が1300トン。中央に深さ6mの大きな水槽があり、ここにアジ、イワシ、コショウダイなど50種、5000点の魚介類を飼育展示。1日3回の餌付けショーが楽しめる。水族館の外では和歌の浦という自然の入江をそのままイルカの飼育に利用し、現在9頭が生息。中でもこの水族館に搬入されてから今年で42年目を迎えた雌のナナは日本で飼育の最高記録を持つ大ベテラン。演技ではステージから飛び乗ったスタッフを一瞬のうちに背中に乗せ、入江を一周。スタッフとの呼吸も見事に合って、観客から拍手を盛んに浴びていた。水族館ではイルカとのタッチンングやイルカと泳ぐドルフィンスノーケルなどイルカと遊ぶプランも充実している。

問い合わせ:下田市観光協会℡0558-22-1531
交通:伊豆急下田駅下車。下田公園へは、あじさい祭期間中は
   臨時バスが運行、7~8分。徒歩で約20分。
   車は東名道沼津ICまたは新東名道長泉沼津IC下車、
   伊豆中央道、R414号など利用


Viewing all articles
Browse latest Browse all 5425

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>