【ラジオシアター~文学の扉】
今週はゲストに漫才コンビ・ナイツの塙宣之さんをお迎えして、
アンデルセンの『王様の新しい洋服』をお届けしました。
"裸の王様"という題名で馴染みのある今作、
塙さんと朋子さんのひと癖あるキャラクター作りが素晴らしく、物語がさらに立体的に!
こんなに笑える面白いお話だったのだと、再認識しました。
ラジオドラマは今回が初めてという塙さんですが、演じてくださった王様は
人間味が溢れていて、イメージの世界から浮き出てくるようでとても素敵!
塙さんご本人のチャーミングさも滲み出ているようでした。
朋子さんの演じ分けや、それぞれの登場人物たちが
お互いに様子を探る絶妙な間が実にコミカルで、
お二人の掛け合いを聞きながらブース外には絶えず笑いが沸き起こります。
台本上では朋子さんに割り振られていたラストの子ども役の一言、
「これは是非、塙さんにやっていただきたい!」と朋子さんからご指名が!
子ども「ねぇママ、あのひと、なんで裸なの?」
この一言の絶妙なニュアンスが本当に面白くて、
聞いた途端にブース外の全員が吹き出してしまうほど!
笑い溢れる穏やかな時間で、あっという間の素敵な収録でした。
プライドや地位、名誉のため、人にバカにされたくないといった大人が
見栄を張る姿が分かりやすく描かれていて、子どもから大人まで楽しめる名作。
原作では、最後の子供の真実の一言で、
さっきまで見えない洋服を褒め称えていた国民全員が口々に
「王様は何にも着ていない!」と言い始めます。
「周りと違うことをしたら批判されるかも…?」という人間の臆病さ、
誰かが先陣をきると、突然意見を変えて同調し始める人間の保守的な部分も
描かれているのだなと、新たな発見!
皆さんがこの国の住人だったら、どうしましたか…!?
来週も塙さんをゲストにお迎えして、
アンデルセンの『コウノトリ』をお届けします。
今回とはまた違った塙さんの役作り、お楽しみに♪
by 永瀬千裕
~ゲスト・塙宣之さんオススメの本~
◯『僕らが毎日やってる最強の読み方』/池上彰・佐藤優