12月15日から、年賀状の受け付けが始まりましたが、年始のご挨拶に添えて、「来年から年賀状はやめます」と書くか書かないか、ネットで賛否が分かれています。もうやめるということをきちんと書いたほうがお互いすっきりするという声がある一方で、わざわざ書かなくてもいいんじゃないかという声もあります。質問サイトなどにもかなり投稿があって関心の高さがうかがえます。これから年賀状を書くという方も結構いらっしゃるでしょう。そこで・・・。
「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!12月18日(火)は、レポーターの近堂かおりが『【年賀状やめます】宣言、書く? 書かない?』をテーマに取材をしてきました!
★本心では年賀状はもうやめたいですか?
まずは、みなさん本心では年賀状をやめたいと思っているのかどうか、街で中高年の方々の声を伺ってきました。
- 60代女性
- 「やめますとは書きませんがやめたい。あまり必要性を感じていない。最高で100枚に抑えたい。」
- 60代女性
- 「私は減らす方向。どんどん減らして普段会える人はもう年賀状は出さない。ずっと会ってないのに【今年こそ会いましょうね】というのはもうやめたい。」
- 50代男性
- 「やめるとは書かない、あまり思わないです。だって伝統だから。いつもいい和紙を買ってそこに筆で書くのが好きなんですよ。」
- 60代女性
- 「大変だけどやめようとは思わない。現役を離れてだいぶ経っちゃうと、まだつながってたかあという感じ。」
- 70代男性
- 「私は700枚ぐらい手書きで毎年出すの。それは続けます。やっぱりもう80歳近いからせめて一年に一回書いて、お互い元気でやってるなと確認できるでしょ。そういう意味はあると思うよ。」
伺った中では、やめようと思わない人のほうがやや多い印象。インターネットなどを見てみると【年賀状をやめるかどうか】に関心があるという人は、半数以上なのですが、では【実際やめるか】というと、半分より少なくなる。さらに【来年からはご遠慮します】とはっきり書くという人は・・・もっと少数になる。それはやはり、受け取った側の方がどう思うかという問題が気になるから。
★【年賀状やめます】年賀状もらったらどう思う?
そこで、【年賀状やめます】と書かれた年賀状をもらった方々は、それをどう思ったか、を聞いてみました。
- ●「もらったらなんか悲しいかもしれないですね。」
- ●「ちょっと寂しい。」
- ●「やっぱり寂しいねえ。それ寂しいんだよね。でも結構ある。」
- ●「あ、ここで終わったな感があって。お付き合いをここで終わらそうとなさったんだなというふうな理解はいたします。」
- ●「その事情は分からないでもないから、お年になって書くのが大変になったという事情が分かっていいんじゃないかしら。」
ご自身ではもう年賀状はやめようかな、と考えていても、相手に【やめます宣言】をされるとやっぱり寂しい。でも他方では、ご自身も高齢になってたくさん年賀状を書くのが大変になった方などは、相手の事情も分かるので寂しくなったりはしないという方も。街ではほぼ半々でした。ただ、目上の方から【やめます年賀状】をもらったという比較的若い女性はこんなことをおっしゃっていました。
- ●「やっぱり礼儀として出していた部分があるので、【私たちは遠慮させていただきます】と言われたときに、本当に出さないでいいのかな、失礼に当たらないのかなというのが毎年不安ではあります。我々は元気でやっていると知らせるために送っていた部分もあるので、別の形で寒中見舞いなどを出すのが本当はいいのかしらと思ってみたり。でも実際そこまでは手間をかけられないので悩ましいなあと思ってます。」
相手は年賀状をやめてもこちらは礼儀として出し続けた方がいいのか、なんとなく不安が残る、とおっしゃるのです。この気持ちも分かる気がします・・・。
★【やめます年賀状】文例集ありますが・・・
こんな風に、【年賀状をやめる】ということを、年賀状に書いてお知らせすることの難しさがあるので、すでにインターネットには【やめます年賀状】の文例集があふれている。読んでみるとたしかに相手を不快にさせないような、または気を遣わせないような例文なのですが、どこか冷たい感じもする。この点について、夏目漱石の手紙なども研究してる手紙文化研究家の中川 越さんにお聞きしました。
- 中川 越さん
- 「やはり手紙の言葉というのは関係性においてはじめて正確な意味が伝わっていくということがありますので、ひとつの言葉で一斉に多くの人たちに何かを伝えようということになると、アリバイ証明みたいなものさえ整えればそれで何が文句があるんだというような感じがしてしまうことが多いと思うんです。この人には不十分な思いというのが伝わってしまう、この人には丁寧すぎるとか、そういう違和感が出てきてしまうものだと思います。」
よく、インターネットの一斉メールで年始の挨拶をすませるのはいかがなものか?という話がありますが、【年賀状やめる】宣言を、同じ文言で年賀状に書いて送るのも、この一斉メールのようになってしまう、と中川さんはおっしゃいます。同じ文言でも、言葉足らずに感じる人もいれば、丁寧すぎてかえって他人行儀に感じる人もいるかもしれませんからね。ではどうしたらいいのか・・・。
中川さんは、例えば、まずは義務的に書いているのでは?という方たち宛の年賀状に【年賀状やめます】を書いて、いままでのおつきあいの【お礼状】として出してもいいかもしれないとのこと。そして、例年より少なくなった通常の年賀状をゆったりと書く、ということになるわけですね。これは良さそうです!
★関係の深かった相手に【やめます年賀状】を出すときは・・・
では、いよいよ関係の深かった方に対して【やめます年賀状】を出すときになったら、どうすればベターなのか。再び中川さんのお話です。
- 中川 越さん
- 「もしやめるのであれば、相手が年賀状を書く前にご挨拶の形で、今年からご遠慮させていただきますということを、年賀状の発売日前に出すのがひとつのタイミングです。あとは年賀を外したところで、寒中見舞いとして【年賀状をいただきましたが、こういう事情でこれからはやめさせていただきます】というものを出すのがひとつのタイミング。」
中川さんの考えは、大事な人には【やめること】を年賀状に書くのではなく別の手紙でお知らせするほうがベターだということでした。少し手間に感じてしまうかもしれません。でも、やはり年賀状はもらってうれしいものですから、やめるときには丁寧に伝えたいですね。

近堂かおりが「現場にアタック」で取材リポートしました。