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夏場も注意!脳卒中の原因や治療

脳卒中というと冬の病気というイメージが強いかもしれません。しかし、実際には、夏場も危険なんです。そこで8月5日(月)、松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で、夏場の脳卒中の原因や治療法などについて取り上げました。

★脳卒中の種類

脳卒中は、脳の血管が破れる、もしくは詰まり、脳に血液が届かなくなって、脳の神経細胞が障害される病気です。

「脳卒中」にはいくつかの種類があり、大きくは、脳の血管がつまる「脳梗塞」と、脳の血管が破れて出血する「脳出血」や「くも膜下出血」に分けられます。

その脳卒中の患者数は現在およそ150万人といわれ、毎年25万人以上が新たに発症していると推測されています。脳卒中は、がん、心臓病に次いで日本における死因の第3位となっています。「寝たきりになる原因」の3割近くが脳卒中などの脳血管疾患です。高齢者が増えていることや、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病の増加により、脳卒中の患者さんは来年=2020年には300万人を超すことが予想されています。

★夏の脳卒中

脳卒中は、冬に多いというイメージがある方もいると思います。寒い季節に多いとされるのは、不整脈の一種である心房細動など心臓病を原因とするタイプです。心臓の血流がよどんで梗塞の原因となる血栓=血の塊ができやすくなります。

一方、夏場の暑い季節に多いのは、脱水状態が引き金となるタイプです。大量に汗をかくと血液中の水分が不足、血液の量も減って凝縮されると、血栓ができやすくなる。その血栓が飛んで脳梗塞を起こします。

脳卒中には「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」があります。その中で、脳梗塞が75%を占めているほど多いのが現状です。そして、夏場に多いのが脳梗塞なのです。そんな脳梗塞の症状ですが、脳は部位ごとにつかさどる機能が様々ですので、障害される部位により、様々な症状が現れます。

★脳梗塞を疑う4症状

  1. 片方の手足・顔半分の麻痺・しびれが起こる。手足のみ、顔のみの場合もあります。
  2. ろれつが回らない、言葉がでない、他人の言うことが理解できない。
  3. 力はあるのに、立てない、歩けない、フラフラする。
  4. 片方の目が見えない、物が二重に見える。片方の目が見えないというのは、片方の目にカーテンがかかったように、突然一時的に物が見えなくなる状態です。

こうした症状のうち、1つだけが出現することもありますしいくつかの症状が重複する場合も。

もし、ご自分や周囲の人にこのような症状がみられたら、一刻も早く救急車を呼んでください。
救急車であれば、専門病院にすぐに運んでもらえます。

そして、緊急に検査が行われ、脳梗塞と診断がつくとすぐに治療に入ります。とにかく、一刻も早く血栓を取り除くことが重要になります。それが患者さんを救うだけでなく、予後をも良くするのです。まさに、“脳梗塞は時間との勝負”なのです。

★治療は?

夏場に多い脳の血管がつまる「脳梗塞」の治療は、まず、薬による内科的な治療が検討されます。現在、最も有効とされる治療法が「血液の固まりを溶かす薬」のt-PAという薬剤の点滴です。この薬は、「脳梗塞の範囲が広くない人」「過去に脳出血を起こしたことのない人」に有効な治療で、およそ4割の患者さんは、症状がほとんどなくなる程度まで回復することができます。

ただ、こちらの薬は、時間が勝負です。使えるのが、発症4時間半以内の脳梗塞患者さんに限られます。4時間半以内での治療となると、検査も必要なので、その1時間前、つまり倒れてから3時間半までに病院に運ばれないと駄目です。

この時間との戦いがあること、しっかり覚えておいてください。

★t-PAが使えない場合は?

t-PAが使えない場合は、すぐに血管内治療が行われます。ただし、これも時間的制限があります。脳梗塞を発症して8時間以内であれば治療が可能です。この血管内治療はカテーテルを使って行なわれます。足の付け根の動脈からカテーテルを挿入して、それを脳の拘束しているところまで届ける。そして、カテーテルの先端についている医療器具によって、血栓を取り、そして回収します。

血管内治療には2つの方法があります。それは「ステント型」と「吸引型」です。ステント型は、先端がらせん状のワイヤーで血栓をからめ取ってくる方法です。

一方、吸引型は血栓を吸引する器具によって吸引し、血流を回復します。

8時間を超えてしまった場合は、「脳を保護する薬」や血栓のできるのを抑える「抗血小板薬」、血栓ができるのを抑える「抗血小板薬」、「抗凝固薬」などによる治療があります。後遺症の軽減を考えた治療になります。

やはり8時間を超えない、これが大切です。

★夏場の脳梗塞の対応は?

まず、夏場の脳梗塞の対応としては、まずは生活習慣病の中でも、「高血圧」「糖尿病」「脂質異常症」のある方は、そのコントロールをしっかり行ってください。

次に、「お酒を飲みすぎない」ことです。アルコールは水分を取っているようで、利尿作用があるので、飲んだ以上に水分が出てしまいます。

そして、水分と言いましたが、夏は水分が失われがちです。熱中症同様にこまめに水分補給を。運動は脳梗塞の予防にはいいのですが、夏場の運動は十分に注意が必要です。室内運動場など、室内の温度が28度以内に保たれているところで行うのが良いでしょう。もちろん自宅のクーラーの効いた室内での運動を。そのと時も、こまめな水分摂取を。

そして、万が一の時も、早期に対応することです。「腕が上がらない」「顔がゆがむ」「ろれつが回らない」などのサインがひとつでもあると、脳梗塞の可能性があるので、迷わず救急車を呼びましょう。

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日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 


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