毎週日曜、夜9時からお送りしている
【ラジオシアター~文学の扉】
今週はゲストに笹本玲奈さんをお迎えして、
マンスフィールドの『幸福』前篇をお届けしました。
マンスフィールドの『幸福』前篇をお届けしました。
現場に入るなり、皆さん口々に「今回の作品は難しい」と仰っていました。
主人公バーサの内面の台詞が多く、語り役もそれに寄り添いますが、
時に冷めたようにも感じられる微妙な距離感です。
バーサを演じた笹本さんは、透明感があり芯もある美声で天真爛漫な魅力が光っていました。
謎めいた美女フルトンを演じたのは中嶋さん。
バーサとフルトンの会話はつかみどころがなく、
脚本を読んだ段階ではフルトンがどのような女性なのか、私の中ではモヤがかかっていました。
収録で中嶋さんの台詞を聞くと、バーサとの関係性が立体的に浮かび上がりました。
脚本を事前に読み、収録で登場人物の第一声を聞く瞬間が個人的に好きです。
作品に象徴的に登場する梨の木。
日本人にはあまり馴染みのないものですが、
満開の梨の木の写真を見てみると、思わず息を呑む美しさでした。そしてどこか悲しげで魅惑的な雰囲気があり、私はバーサにとってのフルトンのようだと思いました。
満開の梨の木の写真を見てみると、思わず息を呑む美しさでした。そしてどこか悲しげで魅惑的な雰囲気があり、私はバーサにとってのフルトンのようだと思いました。
バーサに湧き上がる感情の象徴のようにも見えるし、皆さんはどう感じられるでしょうか。
ぜひ梨の木を見てみてください。
来週は『幸福』後篇をお届けします。
物語の展開と共に、登場人物たちの違う顔にもご注目ください。
by田上真里奈